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起業レポート - 佐々木 仁子 竹駒食堂

佐々木 仁子

正式名称
竹駒食堂
企業形態
個人事業主

起業の動機

支援団体と地元の女性が作る、被災地復興の希望の食堂

岩手県陸前高田市竹駒町。海岸線から内陸部に4㎞ほど入った国道340号線沿い「竹駒食堂」はある。現在は朝食と昼食の営業で、主に工事関係者や観光客、ボランティアが立ち寄り腹を満たす。プレハブの仮設店舗ではなく、無垢の木材で作った新築のお店。屋外には広いウッドデッキがある。切り盛りするのは陸前高田の5人の主婦と、男性の店長。朝はおにぎりセットと朝定食、昼は地元食材を使った定食や丼など、おふくろの味が手頃な価格で食べられると評判だ。
佐々木仁子さんがこの計画に加わったのは12年の2月のこと。「私は震災の半年後から牛乳配達をしていて、災害FMで竹駒に食堂ができると聞いたんです。仮設住宅は配達先だったので、『人集まったの?』って聞いたら、『困っている』と言う。それで私が人集めを手伝うことにしたんです。あちこちに声をかけて、海の仕事がなくなってしまった方や、料理好きな方がやっと4人集まって、私もいつの間にかメンバーに入っていました。」建設地が決まらずオープンが遅れるなど紆余曲折もあったが、寄付や助成金など資金も集まり、2012年10月14日に開業。地元の琴の会の演奏も行われたオープニングイベントには関係者と地元の人々、約70名が詰めかけた。被災地復興の希望の光となる食堂は、メディアやブログで多く紹介された。

解決すべき地域の課題

開店から4ヵ月、ようやく慣れてきて今、課題が山積み。夜も営業してほしいという声はもちろん、メニューもたくさんの要望を頂くなかで、どうやったらうまく経営が成り立つのか、日々みんなで考えているんです。ただ、一番の願いは、竹駒食堂がもっと地域の交流の場になること。

ビジョン

地元の人が集まり、励まし合い、元気になる。そんな食堂にしたい!

もう少し暖かくなったら、ウッドデッキもオープンにしていろいろなイベントをしたいです。地元の農家さんに直売所として野菜を販売してもらって、その野菜をお店の料理でも使って。春には山菜料理、秋には栗ご飯が出せます。フリーマーケットやライブイベントも開きたいですね。場所代は取らないですよ。『代わりにお昼をうちで食べていってね』って。復興食堂だからそれでいいんです。」その先には、独り暮らしのお年寄りを主な対象に、見廻りも兼ねたお弁当配達サービスも考えている。「竹駒に食堂ができるなんて、震災以前にも考えられないことだったんですよ。ここは本当に田舎で。きっと天国に行った方たちもびっくりしていると思います。」おふくろの味の食堂が、地域の人の心を繋ぎ、復興への力を生み出していく。