iSB 公共未来塾-復興支援型-は、被災地のNPOと協働し、地域の福祉・介護分野での社会的企業を担う人材を育成、支援します。
私は震災のあった2011年春に東京の大学院を卒業し、喜多方市のNPOでコミュニティカフェを運営する仕事を1年ほどしました。そのNPOとは別に、何かできることはないかと個人で仮設住宅を訪問していたんです。「何もすることかないのが辛い」と皆さん抑っていたので、被災した方と一緒に、会津の伝統民芸の会津木綿でハンカチやクッションを作り始めたのが始まりです。会津木綿を織る工場はいま2ヵ所しかなく、それも70年前の機械なのでまっすぐ織れなくて、それがいい味になっているんですよ。
先を考えると、避難されている方の多くはいずれ地元に戻るか移られますので、その後も地域に何かノウハウを残していける方法を考えた時、障がい者の仕事にできるのではないかと考え、授産施設に打診したのです。
今回の事業ではストールがメインで、ハンカチやクッションだとミシン仕事になるので、ミシンを使わないストールを考えました。会津木綿は温かく、かつ通気性がいいので、ストールにすると1年を通して使える優れた素材。何百年もの歴史があって人の生活に馴染むようにできているんですね。
作り手一人一人にあった、もの作りの形を探したい
生産は会津坂下町にある精神障がい者の授産施設に委託します。授産施設にもいろいろあって、日給制のところと生産した分が歩合制で本人に入るところがある。後者の場合、より付加価値の高い仕事があればよいので、会津木綿ストールがお役に立てればと思います。それに、どうせなら可愛いもの、かっこいいものが作れたら気分がいいと思う。販売はインターネットと、3月から会津若松市の「アルテマイスター」という店舗でも販売します。
ブランド名は「IIE(イー)」と言います。311を逆さから見るとIEE。あの日から始まった悲しみ、苦しみを全部ひっくり返すぞという意味。今後はストールを中心にピンバッチなども生産していきたい。もともと作り手さん一人一人にあったもの作りができればという思いで始まったことでした。一人一人ができること、一緒に提示していけたらと思います。