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起業レポート - 岩間 敬 遠野馬搬振興会

岩間 敬

正式名称
遠野馬搬振興会
企業形態
個人事業主

起業の動機

全国有数の馬産地である遠野に生まれ育った僕は、子どもの頃から馬が近くにいるのが普通でした。遠野には「遠野馬の里」という競走馬と乗用馬(馬術などの競技馬や乗馬クラブの馬)の育成施設があり、そこには本州で唯一、乗用馬の市場があるんです。

僕は東京で建築の専門学校を出て遠野に戻り、遠野馬の里に勤めました。馬に乗るのは楽しくて、実家が農家で土地もあったので、自分で馬を買って飼い始めました。

そのあと僕は炭焼きを始めて、山から木を出すのが大変だったんです。重機だと道があるところしか行けないですから。悩んでいると、遠野には、山から木を馬で運び出す「馬搬」を実践する方たちがまだいると聞き、見に行った。70歳を超えて現役のすごい方々で、その技術に感勤したんです。1トンぐらいの大きな馬を操り、馬一頭通れる隙間があれば、そりに括りつけた何本もの大きな木を運び出してしまう。僕はすぐ弟子入りして、馬搬の技術を教わるようになったんです。

解決すべき地域の課題

今から3年前に、この馬搬の文化と技術を継承するために、遠野馬搬振興会を立ち上げました。今、遠野で6人。他の地域でも始める若い人が出てきている。

そして今、馬搬そのものに付加価値をつけようとブランディングしています。馬搬した木の証として「Horse Logging Wood」と焼印して、絵馬やまな板、置物、将来的には家具などを商品化していきます。また馬糞の堆肥でつくった特別栽培米や野菜を売り出したところです。胃が1つの馬の糞は胃が4つの牛の糞に比べて栄養価が高く、より美味しく育つ。馬糞のお米は「馬米」と名づけました。

ビジョン

100年前は当たり前だった馬搬が日本から消えた今だからこそ、できると思うんです。僕も機械より馬が珍しいから興味を持てたわけで。CO2を出さないので環境に良いし、馬は機械みたいに高くないし燃料代もかからない。重機で山を削って傷つけない。技術だけでなく、先人が山に作ってくれた小道を活かし、残していくことにもなるんです。