太田達男(おおたたつお)|佐々木健二(ささきけんじ)|紅邑晶子(べにむらあきこ)|
江川和弥(えがわがずや)|栗木成治(くりきしげはる)
太田達男(おおたたつお)
公益財団法人公益法人協会 理事長
東京都を中心に全国
当日は理事会を開催していました。交通機関が途絶しているため、理事の方々は徒歩での帰宅となり、私も船橋の自宅に着いたのが翌日の午前6時で、事務所勤務の者は7名が翌朝まで篭城しました。被害は書籍や書類が散乱した程度です。ちょうど福井県から相談に来ておられたご婦人も事務所のソファーでお泊まりいただきました。
翌12,13日は公益法人協会としてこの未曾有の大災害に何ができるのか、何をすべきなのか考えました。
そして今すぐにできることは、被災地で必死に救援活動に従事するボランティア団体向け支援に特化した救援基金の募集であるということを決断をして、14日月曜日早朝特別口座を銀行で開設し、H/Pやメルマガでの募集を開始しました。当日から続々とまではいかないまでもそれなりに申込が届き、お礼状、受取証、公益法人であることの証明書の準備、寄附金台帳の整備など、公法協が災害対策募金をしたことは初めての経験であったこともあり、手探りで事務を進めていきました。
集まった寄附金の選考・配分はその方面の有識者5名にお願いし、4月1日に配分委員会を立ち上げました。また、現地せんだい・みやぎNPOセンターとも連絡を取り現地情報の収集に努め、市民フォーラム21の3人と共に4月6~8日の3日間、金沢専務以下3名を現地に派遣し、宮城県9団体岩手県2団体と面談し現地の現段階のおけるニーズを把握させていただきました。
又、4月14日には第1回の配分委員会(委員長松岡紀雄氏)を開催し、応募のあった16団体から11の団体に緊急支援金を送金させていただくことができました。配分先団体リストはhttp://www.kohokyo.or.jp/kohokyo-weblog/topics/2011/04/post_235.html よりご覧になれます。
なんといっても、被災者及び現地で支援活動に従事する団体の最も必要とすることは何か、つまり適切なニーズはどこにあるのかということを的確に把握することが必要と思います。中途半端な支援はボランティアであっても資金であっても折角の善意が無駄になります。さらに復興支援の段階では、支援する側の持続的能力と専門性が一段と必要になるでしょう。行政や企業ではできないことで第3セクターならばこそ取り組める課題とは何か、高い識見や構想力が問われることになるでしょう。
公益法人協会というサードセクターの一員としては、過去の多くの団体の支援活動の経験に学びつつも、最も効果的な資源配分を目指しつつ独自の新しいスタイルを模索し、手探りで前に進んでいます。その過程で変な不協和音も聞こえてくることがありますが、何とかハーモニーの取れた活動を続けたいと思っています。私たちの活動は日本全国の支援の大きなうねりの中で誠に小さな部分でしかありませんが、志(こころざし)だけは大きく掲げて頑張りたいと思っています。
佐々木健二(ささきけんじ)
特定非営利活動法人日本冒険遊び場づくり協会 理事
(西公園プレーパークの会(仙台市) 副代表)
宮城県
自身は鉄道会社におり、新幹線復興に従事している。仙台・宮城の遊び場づくりの仲間と協力して、子どもの遊び場(西公園プレーパークなど)を再開している。また、「被災地域における遊びを通じた子どもの心のケア」をテーマとして学習会を行い、被災地域での遊び場づくりに地元の大人が関わることを目指している。
協会は、被災地域の子どもの心のケアのために、子どもの遊び場づくりを行いたいと考えている。阪神淡路大震災の際にも、被災地域における子どもたちの遊び場を継続して提供した。今回の被災地域は、集落が点で存在しているので、阪神淡路大震災のように面で展開していくことが困難である。そこで、プレーカーなどを走らせて出前で集落を回っていくというかたちを考えている。まずは、気仙沼で拠点となる遊び場づくりを4月中旬から始めており、全国のプレーリーダーが、3名ずつローテーションで運営していく予定。小学校近くの山のふもとを借りて、地元の大人たち、子どもたちとともに、山を切り開いて遊び場をつくっている。
資金的な協力:被災地域での遊び場づくりでは、子どもたちとの関係づくりの他に、地元の方々との連携をとり、協力を得ながら進める必要がある。拠点を増やすためには、全国で遊び場づくりをしている経験豊かなプレーリーダーをコーディネーターとして派遣する必要がある。彼らを派遣するための交通費、謝礼、プレーカーに使う車両、燃料費、遊び場をつくる資材費など資金的な協力が不可欠である。
最近の学習会で、被災地域の大人が、子どもの心のケアに関わる場合、大人自身の心も被災により強張っており、ケアが必要であると実感した。本人が話したいと思っているという条件付きであるが、気持ちを言葉にして、互いに傾聴しあうことで、大人の心を柔らかにすることが大切である。遊びを通じた子どもの心のケアは長丁場であるので、できるかぎり地元の大人の力を集めて実施していきたい。
紅邑晶子(べにむらあきこ)
宮城県
震災直後は、しばらく新聞も届かないような状況で情報が得られなかった。しばらくしてラジオからニュースが届くようになり、状況が少しずつ見えてきた。せんだい・みやぎNPOセンターでは、電話がけをして登録団体の情報を収集した。
支援したい団体やNPOと地元のNPOをつないで被災者を支援する「つなプロ」を複数の団体と連携して立ち上げ、連日会議を行い情報共有している。避難所をはじめとする被災者への支援を避難所でのアセスメントを行いつつ、物資や医療関係などの専門家を派遣している。また、みんみんファンドを活用して、地元のNPOの復興支援助成を行った。全国のNPOや団体が被災地に来てくださるが、地元のNPOとの連携が取りにくいこともあるので、その情報共有に努めている。地元の中小企業やNPOの復興支援のための相談会を開催している。今後は、資金的な支援などにも力を入れる予定。最新情報はこちらで発信中。http://www.minmin.org/
物資提供から資金支援の方がありがたい時期になってきた。地元で商売をしている方たちの復興に向けての活動の邪魔をしないことへの配慮も必要。民業圧迫にならないように。むしろ、応援をしたい地域を選んで、被災者への資金支援を行ってほしい。
今回の災害は国際的規模の災害であることを強く実感している。復興計画は、自治体単独で考えるのではなく、広域で考えるべきだと思う。また、海外からの知恵や国際的な活動をしているNGOなどの知恵と地域に住む人たちの知恵を活かして考えることが必要。地元の復興活動と地元から離れたところで考える復興支援のかい離を感じる。1・2時間のヒアリングではなく、せめて1週間ぐらい滞在して、現場の状況を理解した上で一緒に取り組める復興支援策を考えることを望みたい。もちろん、被災先の状況を尊重して取り組むことが前提です。
江川和弥(えがわがずや)
特定非営利活動法人寺子屋方丈舎 理事長
福島県
福島県内は、地震、津波、原発の3重の被害で、電気、ガス、水道のライフラインは何とか開通したものの、時間の経過とともに原発周辺地域から逃げてきた被災者の不安は深刻さを増している。
避難所での炊き出しや、子ども支援の活動をしている。3月16日から避難所におにぎりを届ける活動を継続し、ピークの3月21日には2332個のおにぎりを届けた。「つなプロ」やせんだい・みやぎNPOセンターと連携し活動を続けていく。
専門性のある継続的な支援。たとえばボランティア及び調査事業(避難所)のコーディネイターが必要です。できれば一月以上滞在が望ましい。最低でも二週間。
突然人災で崩れた人間、地域での関係をつなぎ直す人材、しくみづくりがいまほど求められている時はありません。全国のNPOから知恵と人を集め活動に結びつけたいと思っております。
栗木成治(くりきしげはる)
岩手県、福島県、(宮城県)、被災したアレルギー患者が疎開している地域
発災後の夜からアレルギー患者・家族からSOSが届き、3日目に被災地入りし、その後3回被災地に入り避難所などのいる患者・家族支援を続けています。
最近になって「1ヶ月我慢したが、これ以上はもたない。恥ずかしい気持ちだが支援いただけますか」、「子どもには白米しか食べさせられない。もうこれ以上は・・・」など我慢に我慢を重ねて支援を求めてきて方が少なくありません。
「がんばれ」エールが、知らず知らずのうちに支援を必要とする人々をさらに追い詰めているのではと痛感させられます。
発災直後から岩手、宮城、福島各県下に支援拠点をお願いし、幸い地元の「患者会」やボランティア団体などにお願いすることができ、患者の皆さんに救援物資が届けられるようになりました。
又、今回の大震災では被災地で1週間以上活動するお届け隊(支援ポスターを避難所に張り、救援物資をお届けする)の(車・バイク)ボランティアに30人以上応募され、支援の周知をしていただいています。
2ヶ月ほどかかりようやく8割ほど張り終えましたが、避難所以外の子どもの施設や避難所に入れない方にはまだまだの感です。それでも、毎日支援を求める人々から連絡が入り、休みなくスタッフが毎日奔走しています。
こうした活動を継続しつつ、今後は地域でアレルギーの患者・家族が孤立せず、育まれていく地域社会へと、更にさまざまなボランティア団体の皆様と連携を強める取り組みをすすめていきます。
私どもは力も人も財力も大変微力な団体です。
ありとあらゆる面から支えていただける方々のご協力をお願いしています。皆様のお力で支えていただけますようお願いします。
復興活動とあわせて東海・東南海・南海地震に備え、アレルギー支援を求める人々との絆を強めていく力量を培っていきたいと痛感しています。