NPO法施行から10年、NPOを含むサードセクターは本当に社会の役に立っているのか?
この純粋な問いかけから、JACEVO設立構想は生まれました。
成果を出せる組織に必要なものは何かという課題に取り組むために、リージョンレベルの中間支援組織のリーダーが集まり、研究会を定期的に開催しました。
これまでの、税制についての提案、NPOの啓蒙のためのイベント、新人・中堅スタッフのための研修が中心であった狭義のNPOの中間支援組織の活動について、それでよいのかと自らに問いただしました。また、2008年12月1日より改正公益法人改革が施行され、抜本的な自己改革に迫られている状況でした。これまで縦割り構造で分断されていた狭義のNPOだけでなく、社団法人、財団法人、社会福祉法人や学校法人、医療法人、協同組合やワーカーズなど広範な非営利組織を捉えたサードセクター形成と、フロントラインで活動されているサードセクター組織の力量拡大のために、全国のインフラ整備に取り組むことを決めました。その後、研究会では、イギリスのNPO政策の流れと非営利組織のCEOで構成された組織であるACEVOの役割に注目し、議論を深めていきました。
ACEVOの調査のためにイギリスへ渡り、初代の理事長、事務局長、当代事務局長、会員に直接ヒヤリングを行いました。ACEVOのような組織が日本でも必要であることを確信すると同時に、日本での実現に向けての課題を認識しました。
帰国後、JACEVOの設立趣旨を意見交換し、その目的達成に必要な要素を研究し、「つなぐ」「のばす」「提言する」の3つプロジェクトの柱を築いていきました。そして、研究会での議論の成果を、全国で積極的に活動なさっている経営者の皆様に説明し、63名の方に呼びかけ人となっていただきました。呼びかけ人の皆様には、乱暴なお願いにも関わらず、共感していただけたことに感謝申し上げます。
63名の呼びかけ人によりJACEVO設立準備会を立ち上げ、9月1日設立に向けて、半年間の事業骨子を承認いただきました。全国6地域にて会員拡大キャンペーンとして、呼びかけ人とJACEVOに関心のあるみなさまと幹事が直接意見交換しました。述べ393名の方々にご参加いただき、JACEVOの必要性を伝えて議論を重ねてきました。また、子育て部会を設置し、子育て政策を提言するために研究会や勉強会を何度も開催し、「提言する」の活動を継続しておこなっています。
設立時社員128名にて日本で初めてのサードセクターの経営者を対象とした組織を設立しました。1日から5日まで全国4か所にてACEVOの最高執行責任者スティーブン・バブ氏を招聘し総会記念イベントを開催、述べ333名の方々にご参加いただきました。
明確な目標、熱い想い、確かで有効な計画、たゆまぬ努力が多くのみなさまの願いの吸引力となり、組織が力強くなっていくはずです。
設立に至るまでに多くのみなさまのご支援、ご協力を賜りました。ほんとうにありがとうございます。事務局としましては、できない理由ばかりを述べるのではなく、自ら試行錯誤にて課題解決のために実践していきます。できたばかりの組織ですが、日本で初めてサードセクターという広い輪郭を捉える活動を具現化しつつあります。そして、日本におけるサードセクター組織の力強い経営者が集まり始めています。
サードセクターの存在価値を高め、行政セクター、企業セクターとともに、多元的な社会をつくっていくことを目指します。私たちは、未来の社会をすぐそこに見ることができます。
ぜひJACEVOにご加入いただき、広く遠く未来の社会を見通し、自律的で多彩な活動を全国で展開することにご協力、ご支援をよろしくお願いいたします。また多くのみなさまにJACEVOの必要性に関心を持っていただき応援をいただければ幸いです。
今後ともみなさまのご支援ご協力をよろしくお願いいたします。
2011年9月1日より、公益社団法人日本サードセクター経営者協会(JACEVO)として新たにスタートいたしました。
JACEVOは、日本において、サードセクター組織の力量が拡大され、これまで細分化されてきた日本のサードセクターを再構築し、政府・行政セクター、企業セクターといった従来のセクターにビジョンに溢れ、力強く活動するサードセクターが加わり、3つのセクターが一体的に変化し、3つのセクターがそれぞれに適切な役割を果たす多元的な社会の実現を目指しています。日本は、社会変革の岐路であることを役職員一同認識し、気持ちを新たに目指すべき社会実現のために活動を展開していきます。
日本において、分断されていたサードセクターを構築するという課題が現実性を持ち始めています。当協会の執行理事は「新しい公共」推進会議において、サードセクターの力量拡大とサードセクターの形成について提言してきました。「新しい公共」推進会議の報告書(2011年7月)では、こうしたサードセクターにほぼ重なる言葉として「市民セクター」という言葉と考え方が示されています。
「市民セクターとは、特定非営利活動法人、一般社団・財団法人、公益社団・財団法人、医療法人、特定公益増進法人(学校法人、社会福祉法人等)、協同組合、法人格を持たない地縁団体(自治会・町内会、婦人・老人・子供会、PTA、ボランティア団体等)等の民間非営利組織のほか、公益的な活動を主な目的とする営利組織からなるセクター」
市民セクターという呼称には違和感がありますが、これらの組織を同一のセクターを構成するものとして捉え、それらを「新しい公共」の担い手として位置づける考え方が示されました。広範なサードセクターの輪郭を捉えJACEVO構想を具現化するために、JACEVOを設立、ようやく未来の社会に向けての一歩を踏み出すことができました。
代表理事 後房雄
代表理事 太田達男
代表理事 加藤哲夫
代表理事 田島誠一
執行理事 藤岡喜美子
ACEVO(全英サードセクター経営者協会)
英国ロンドンに本拠地を置く。バブ氏のCEO就任とともに、政府との関係強化を強め、一躍、伝統あるNCVOに並ぶ形で、政府交渉のカウンターパートとしての存在感を示している。具体的には、事業委託契約における全経費保障(フルコスト・リカバリー)の課題提起、国としての「サードセクターのための公共サービス行動計画」の策定実現、政府へのサードセクター局および担当大臣の設置等、イギリスのサードセクター政策の前進に大きく貢献する。
なお、英国には全国規模のNPO支援組織として、老舗のNCVO(全英NPO協議会)が日本で有名であるが、NCVOが団体加盟の連携組織であるのに対し、ACEVOは経営者個人が加盟する会員組織である特徴を持つ。
スティーブン・バブ氏の紹介
英国ロンドンに本拠地を置くACEVO(全英サードセクターリーダー協会)のCEO。「つなぐ・伸ばす・代表する」という三つの機能のうち、イギリス政府の公共サービス改革の時流を捉え、「代表する」の機能を拡充させることにより、会員1000人規模であったACEVOを会員2000人規模の組織に成長させる。同時に政府による「サードセクターのための公共サービス行動計画」の策定実現やサードセクター局の設置等、イギリスのサードセクター政策の前進に大きく貢献する。なお、英国には全国規模のNPO支援組織として、老舗のNCVOが著名であるが、NCVOが団体加盟の連携組織であるのに対し、ACEVOは経営者個人が加盟する会員組織である特徴を持つ。